夏にインフルエンザが流行する理由は?
近年、海外の医療機関や世界保健機構の調査により、インフルエンザが夏にも流行していることが明らかになっています。日本でも2005年以降、沖縄などを中心にインフルエンザが冬と夏に流行するようになりました。
それにはどうも大きく二つの理由があるようです。
海外からの持ち込み
インフルエンザは冬だけの脅威ではありません。実は夏でも流行します。通常インフルエンザウイルスは低い気温と、湿度50%以下の乾燥を好み増殖するといわれています。温度、湿度そして紫外線などの要素も加わり、夏には流行しにくいはずでした。ではなぜ条件に合わない夏に流行するのでしょうか?
- 一つに、海外からの渡航者です。
日本の夏にインフルエンザウイルスが活発になる気候にあるのは、南半球の国々です。それらの国へ渡航した人たちが、日本に持ち帰ってきてしまうのが、大きな原因の一つです。
相対湿度と絶対湿度って聞いたことある?
しかし、海外から持ち帰ってきてしまったインフルエンザウイルスが、日本の夏という環境でなぜ拡大するのか?普通に考えると、少数の感染者を出すだけで短期間に死滅するはずですよね。実は、インフルエンザウイルスは湿度が100%でも死なないことがある、という事実が分かってきました!
インフルエンザウイルスについて長年研究を続けており、下記「インフルエンザ流行予測」のシステム考案者である、仙台市宮城野区の庄司内科小児科医院 院長 庄司眞 医師によると、インフルエンザウイルスの流行には相対湿度と絶対湿度が大きく関係しているとのこと。
相対湿度とは?
私たちが通常天気予報で知る湿度のこと。ある気温において、空気中に含むことができる最大の水分量を100とした場合、実際の水分量を比率で表したもの。
絶対湿度とは?
1m3の空気中に含まれる水蒸気量g
気温とは無関係に実際の水蒸気量をgで表します。
つまり、インフルエンザの流行を防ぐには、通常私たちが気にしている相対湿度ではなく、絶対湿度を気にかけるべきだ、と捉えられますが…参照:全国インフルエンザ流行予測 http://www.mmic.or.jp/flu/flu-list.php
では、より詳しく見ていきましょう。
インフルエンザと絶対湿度の関係
インフルエンザウイルスは、この絶対湿度が11g/m3以下になったときに活動し始め、7g/m3以下になった時点で感染が拡大することが明らかになっています。夏の屋外は確かにウイルスは死滅するでしょう。しかし問題は屋内です。屋内の絶対湿度を11g/m3以上にキープするには?
201◯年夏のインフルエンザは流行するのか?
ブラジルの南部は6月~7月がインフルエンザのピークとなっています。2016年夏はオリンピックやパラリンピックで特に日本からも渡航者が多く、南部のサッカー開催地であるサンパウロ州のインフルエンザ入院患者数は7月時点で約3800人となっています。他の州では100~300人であることを考えると、非常に高い数字であることが分かります。さらにこれらの数字は2015年の同地域同時期に比べて10倍以上!2020年の東京オリンピックの時はどうなるのでしょうか。
インフルエンザ以外にもデング熱、チクングニア熱、ジカウイルスなど注意を払うべき感染症も流行っていますので、渡航者の方、またその周辺の皆さんは十分に注意してください。
必然的に2016年日本の夏のインフルエンザ患者数も増えることが予測されます。現在のところ厚生労働省や国立感染症研究所からのこの2016年夏のインフルエンザ感染者数の報告はまだ出ておりません(2016年8月24日現在)
夏のインフルエンザとアデノウイルス
プール熱とも言われているアデノウイルスによる感染症を、咽頭結膜熱と言います。インフルエンザよりも症状は軽いのですが、その名の通りのどの痛みと目の炎症、そして38~40℃という高熱が特徴です。脱水症状になりやすいため水分補給を怠らないようにしましょう。インフルエンザと違って特効薬はないので、通院しても検査をしてアデノウイルスだと確定されることはないかもしれません。
しかし、インフルエンザではないことを知ることができます。発症後24時間経っていれば検査の精度が80%を超しますので、早めの通院をおすすめします。
絶対湿度の計測器や絶対湿度を計測してくれる「インフルエンザ警戒計」というiPhoneアプリが開発されていますよ!
なんと無料のようです。このアプリには以下の絶対湿度一覧表もありますので、是非参考にしてみてくださいね。
この一覧表を見ると、たとえば相対湿度が50%の時に温度が18~24℃の部屋は感染注意、ということになります。エアコンの温度設定を25度以上に設定すればいいわけです。