インフルエンザ感染時の発熱について

インフルエンザに限らず、風邪や胃腸炎などウイルスや細菌に感染すると発熱することが多いです。高熱がでてしまいその症状でグッタリしたり食欲がなくなったり、筋肉痛や関節痛も起こしてしまいます。あと体がだるくなる倦怠感もそうですね。とても不快で嫌な症状です。

インフルエンザA型にかかってしまったときの「熱」も他の病気での「熱」も悪者扱いされていますが、実はいいところもあるのです。そんな熱のお話をしたいと思います。

熱
インフルエンザA型にかかると潜伏期間を経て発症します。その先鋒が急な高熱です。でもなぜインフルエンザA型にかかると急な高熱が出てしまうのでしょうか?それは、体の防衛機構が働き始めるためです。

人間は熱のある生き物です

この生きている世界に数えきれないくらいの細菌やウイルスが存在します。ウイルスの中には熱に弱いものがあり、人間の平熱と呼ばれる熱はそれらの細菌やウイルスと闘って体を守っているとも言われています。

ウイルスは通常35~36度の温度を好み増殖します。37,38度と上がるにつれて活動が鈍り、38.5℃以上の熱になるとほとんどのウイルスが不活化します。発熱の原因ではない、いつの間にかこっそり潜んでいたウイルスや細菌も死滅や不活化できますので、この38.5℃以下の3日程度までのお熱は、解熱剤を使わず自宅で様子を見てもよいでしょう。

もちろん、インフルエンザの場合は急に高熱になり、48時間以内の抗インフルエンザ薬の投与が必要ですので、翌日受診を忘れずに!

ウイルスは熱に弱いため、体が発熱する

ウイルス増殖中
小児科の医師の中でもこの高熱の反応を利用してあえて解熱剤を処方しない医師がいる位です。
抗生剤に関しても、子どもの発熱の約9割の原因はウイルス性で、抗生剤は効かないため必要ありません。

あとどのくらいの熱がでたら危ないとか、どのくらいの間熱が続いたら病院に行けばよいか?高熱が脳に及ぼす影響はないか?頭がバカになってしまうのではないか?熱性けいれんは起こさないか?などなど悩みますよね。

高熱でも飲食があり出来て眠ることができる出来、排尿がある場合すなわち脱水の心配や兆候がない場合は自宅で様子を見ることが出来ますが、以下のような症状の項目が一つでも当てはまる場合は、すぐに受診してください。

新生児の発熱(生後1か月未満)

→肺炎、敗血症などの恐れ

熱が持続している期間が4日以上

→気管支炎、肺炎、敗血症などの恐れ

ひどい頭痛が長く続く

→これまで聞いたことのない泣き方をする。下痢・嘔吐が続く。乳児の大泉門※が腫れている
→髄膜炎などの恐れ。※頭部前面、髪の生え際よりちょっと上の骨と骨の隙間で、ペコペコする部分。1歳4か月頃まである。

元気がなく、フラフラ、ウトウトしている。泣き声が甲高い。

→脳炎、脳症、脱水などの恐れ

辛そうに呼吸する。首や胸が息をするたびに大きく上下する。

→気管支炎などの恐れ

水分が摂れない。

おしっこの回数が少ない(8時間ほどない)。唇がカサカサしている。泣いても涙が出ない。体重が減っている。
→胃腸炎などの恐れ

38.5℃以上の熱で、本人が眠れないほど辛そう、機嫌が悪い場合などに限って解熱剤を使用するようにしましょう。

また熱があって手足も熱いならばあまり厚着をする必要はありません。汗をかきすぎて逆に脱水症状を早めたり、汗で体が冷えてしまいます。会話ができる年齢なら寒気があるかどうか、乳幼児の場合は手足が冷たいかどうかを触って確認しましょう。

脱水症状や、意識がなくならない限りは、インフルエンザA型にかかって高熱がでても冷静に対処しましょうね。